いまだに歩き出そうとしない~分水嶺Bコース完走記2~

7月13日

午後18時

 

新宿伊勢丹前に私はいた。

 

そこには、

ツヤツヤの髪に白いブラウス膝たけのスカート身にまとい

パンプスをはいた、きらきらしたOLさんが行きかっていて

 

7㎏のザックを背負って

奥多摩駅に向かう前、最後に炭水化物を胃に押し込もうと

丸亀製麺に入ろうとしている私はこう思うのだった

 

「私も10年前はそちらの世界の住人だったはず。。。」

 

私が新卒で入った会社はまさしく伊勢丹だった。

 

女を磨くことが正義だと信じてて

結婚は20代でするものだと信じていて

給料少ないくせいに1本9000円近くするアルビオンのスキンコンディショナーとか買って(今思うとくそ高いな)

その分お昼は社食の180円のざるそばで我慢したりして

毎日パンプスはいてカツカツ歩いて営業まわって

素敵なお店にディナーに連れてってもらえるのが

ステイタスなんだと思っていた時代が私にもあった。

 

なんなら、昔からの友達には

「あの時代のオツベルが一番かわいかった」といわれたりするが

 

まぁそりゃ汗だくで死臭ただよわせて自分のことうんこ呼ばわりしている女より

スカートひらひらさせてシャンプーのにおい漂わせてる女の方が可愛くなかったら世の中間違ってると思うから

全くもって異論1ミリもない。

 

こちら側の世界に来てしまったことを

いいんだか、悪いんだか、と思いつつ

まぁ少なからず、量産型女子でいることをあきらめて

世の中のほとんどの女性が経験しないことをこれから経験しに行くんだから

それはそれでありだな、と思って自分を肯定しないと生きていけないよな。

 

などと思いながら

汗だくになりながらかけうどんを食べ

 

「うどん食って滝汗。うどんてこんなに汗かくスポーツなのか」

 

とかくだらないことをツイートしながら奥多摩駅へと向かうのだった。

 

 

奥多摩駅を夜中0時にスタートし、翌々日の16時までに

長野県だか山梨県だか清里とか野辺山のあたりまで

とにかくひたすら山の中を歩く縦走大会、それが分水嶺トレイルだ。

 

22
とりあえず山と高原地図4枚分

 

 

鴨沢スタートのAコースと奥多摩スタートのBコースがあり、

去年はBコースは120㎞あったようだが、

今年はコースが変更されて97㎞だった。

 

まじで心の底、というより全俺の底から97㎞でよかったと思っている。

 

そんな分水嶺トレイルに出るためにはまず書類審査がある。

今までどんな山行をして、コースタイムのどのくらいで歩き、どういう装備でどんな天気だったのか。

 

分水嶺トレイルを歩ききれる山力があるかどうか、

途中でどんなトラブルがあっても対処できるかどうかをまず書類でふるいにかけるわけだ。

 

正直私の乏しい山行歴だけではたぶん受かっていないような気がするし、

私はソロだったら完走してないと思う。っていうかそもそも出ようとすらしてない。

 

私の出るチームには去年Aコースを女性1位でゴールしているエマちゃんがいたというのが大きいような気がしている

というか絶対にそうだが

書類審査も無事通過することができ、

そのほかの必須条件である山岳保険に加入したり、救命救急講習を消防署で受けたり、

ツェルトの使い方を教えてもらったり必携装備をそろえたりして、

当日を迎えた。

 

当日会社を早退し、銭湯を経由して奥多摩に向かっていたので

現地で着替えようとロングスカート姿で電車に乗りこむと、そこには

 

「おれ!今から!分水嶺出ます!」

という雰囲気しかまとっていない男性がうようよいて

 

そんな男性たちの間をすり抜けたあと、

 

「あいつスカートででんのかよwww」

 

と聞こえるように言われたので、

 

「でるわけねぇだろ」

 

と心の中とツイッターで毒づきながら(小者)

メロンパンをほおばりスタート地点へと降り立つのであった。

 

オツベル

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